説明
イベルメクチンは、主に寄生虫症の治療に用いられる合成抗寄生虫薬です。糞線虫症や疥癬(かいせん)などの寄生虫症に対して高い治療効果を発揮します。
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イベルメクチンの効果
1. 寄生虫の神経・筋細胞を麻痺させる
イベルメクチンは、寄生虫の神経細胞や筋細胞にあるグルタミン酸作動性塩素イオンチャネルに結合し、細胞膜の塩素イオン透過性を上昇させます。これにより、寄生虫の神経伝達を阻害し、麻痺を引き起こします。麻痺した寄生虫は死に至ります。
2. 糞線虫症への効果
糞線虫は主に小腸に寄生する寄生虫で、腹痛や便秘などの消化器症状を引き起こします。イベルメクチンは糞線虫を死滅させ、症状を改善させます。
3. 疥癬への効果
疥癬はヒゼンダニが皮膚に寄生することで起こる皮膚感染症です。イベルメクチンはヒゼンダニを死滅させることで、疥癬の治療に非常に効果的です。
4. フィラリア症の予防効果
犬や猫のフィラリア症予防薬としても使用されており、フィラリア幼虫を死滅させる効果があります。
副作用
1. 眠気、頭痛、めまい
主な副作用として、眠気、頭痛、めまいなどの中枢神経系への影響が報告されています。
2. 皮膚障害
発疹、そう痒症などの皮膚障害が起こる可能性があります。
3. 消化器症状
下痢、嘔吐、食欲不振などの消化器症状が現れることがあります。
4. 肝機能障害
まれに肝機能障害が起こることがあり、肝機能のモニタリングが必要です。
5. 過敏症
アナフィラキシーなどの重篤な過敏症状が現れる可能性があります。
使用方法・飲み方
1. 糞線虫症の治療
体重1kgあたりイベルメクチン約200μgを、2週間間隔で2回経口投与します。
2. 疥癬の治療
体重1kgあたりイベルメクチン約200μgを1回経口投与します。重症例では2週間後に再投与が必要な場合があります。
3. 服用時の注意
空腹時に水と共に服用することが推奨されます。食事の影響で吸収が亢進し、副作用が強まる可能性があります。
4. 禁忌・慎重投与
妊婦や授乳婦、肝・腎機能障害患者、高齢者では慎重投与が必要です。重篤な副作用のリスクが高まる可能性があります。
イベルメクチンは、従来の抗生物質などでは効果が不十分な重症・難治性の寄生虫症に対して強力な駆虫効果を発揮する薬剤です。一方で、重篤な副作用の危険性もあるため、医師の監督のもとで適切に使用することが重要不可欠です。使用に際しては、十分な説明を受け、リスクとベネフィットを理解した上で判断する必要があります。
また、新型コロナウイルス感染症の治療薬としての可能性が一時期注目されましたが、日本国内の臨床試験で有効性が示されなかったため、現時点では新型コロナウイルス感染症への適応は認められていません。今後の研究によって、新たな適応が認められる可能性はありますが、勝手な使用は避けるべきでしょう。
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